未経験から薬剤師になるには｜資格取得から転職成功までの全手順と求人データ

「未経験から薬剤師になりたいけれど、何から始めればいいかわからない…」
「資格は取ったものの、実務経験がなくて不安…」

薬剤師という専門職へのキャリアチェンジを考えたとき、多くの方が様々な不安を抱きます。

この記事では、「シゴトのスベテ。」編集部が薬剤師の求人100件を調査した客観的なデータに基づき、未経験から薬剤師になるための現実的な道のりを、あなたの状況に合わせて徹底解説します。

シゴトのスベテ。編集部（運営会社：株式会社メルセンヌ）

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【大前提】未経験から薬剤師になるには「6年制薬学部」の卒業が必須

まず最も重要な大前提として、薬剤師になるためには、必ず6年制の薬学部（または薬科大学）を卒業し、薬剤師国家試験に合格する必要があります。これは法律で定められており、このルート以外に薬剤師になる方法はありません。

「実務未経験」という言葉には2つの意味がありますが、この記事では主に「資格はあるが実務経験がない方」を対象に解説を進めます。資格をまだ持っていない方は、まずこの章を読んで、薬剤師になるための最初のステップを理解してください。

社会人が薬剤師を目指すための2つのルート

高校生以外の方が薬学部に入学するには、主に2つの方法があります。

どちらのルートを選ぶにしても、薬学部への入学は簡単な道ではありません。まずはご自身の学力や状況と向き合い、大学の募集要項をよく確認することから始めましょう。

資格があれば「実務未経験」でも転職できる？【求人100件調査】

薬学部を卒業し、国家試験に合格したものの、様々な理由で実務経験がない方も少なくないでしょう。「資格だけの自分でも、本当に薬剤師として働けるのだろうか」という不安は、当然のものです。

結論から言えば、薬剤師免許さえあれば、実務経験がなくても転職は十分に可能です。「シゴトのスベテ。」編集部が実際の求人100件を調査したところ、その事実が明確なデータとして示されました。

採用のリアル：未経験者歓迎の求人は83%

「シゴトのスベテ。」の調査では、100件の求人のうち、実に83件が「未経験者歓迎」として、実務経験を問わない応募を受け付けていました。

このグラフは、調査対象の求人100件における「未経験者歓迎」と「経験者のみ」の割合を示したものです。

この結果は、薬剤師業界が資格取得者をいかに求めているかを示しています。多くの企業や医療機関では、資格を持つ未経験者を手厚い研修で育成する体制が整っており、安心してキャリアをスタートできる環境が用意されていると言えるでしょう。

▶薬剤師に向いている人の特徴

データで判明！未経験者がアピールすべきポテンシャルとは？

実務経験がない薬剤師の採用では、スキルや経験年数以上に、その人の持つポテンシャルが重視されます。今回の求人調査では、多くの企業が未経験者に求める人物像として、共通する4つの傾向が見られました。

これらのポイントは、あなたの強みをアピールする上で重要な指針となります。

1. 学習意欲・キャリアアップ志向

多くの薬局や病院では、未経験者向けの研修制度や資格取得支援制度が充実しています。そのため、入社後に新しい知識を積極的に学び、成長したいという意欲が高く評価される傾向にあります。

「認定薬剤師の資格取得を支援します」といった記載は、企業があなたの将来性に投資する意思があることの表れです。面接では、前向きな学習意欲をアピールしましょう。

2. 人柄・コミュニケーション能力

薬剤師の仕事は、患者様はもちろん、医師や看護師など他の医療スタッフとの連携が不可欠です。そのため、円滑な人間関係を築ける人柄や協調性が重視されます。

求人情報にも「助け合いがモットー」「人間関係の良さが自慢」といった言葉が多く見られました。相手を思いやり、チームの一員として貢献できる誠実な姿勢が求められています。

3. 新しいことへの挑戦意欲

近年、オンライン服薬指導や在宅医療など、薬剤師の役割は多様化しています。このような変化に対し、既存のやり方にとらわれず、新しい取り組みに前向きに挑戦できる柔軟性も重要なポテンシャルです。

「新しい薬局の在り方を創っていきたい方」を歓迎する企業もあり、変化を楽しめる姿勢は大きな強みになります。

4. 患者・地域医療への貢献意欲

特に「かかりつけ薬局」としての役割が重要視される中で、単に薬を渡すだけでなく、地域社会に貢献したいという思いも高く評価されます。

「地域に根差した薬局で働きたい」「患者様に寄り添うことを大切にしたい」といった気持ちは、志望動機を伝える上で重要な要素となるでしょう。

【職場別】未経験から目指せる薬剤師の仕事内容

薬剤師の資格を活かせる職場は、調剤薬局だけではありません。それぞれの職場によって、仕事内容や働き方、そして未経験者にとっての働きやすさも異なります。

ここでは、薬剤師の主な活躍の場である「調剤薬局」「ドラッグストア」「病院」の3つを取り上げ、その特徴を具体的に解説します。あなたのキャリアプランに合った職場を見つけるための参考にしてください。

1. 調剤薬局

医師が発行した処方箋に基づき、医薬品の調剤や患者様への服薬指導を行う、最も一般的な職場です。地域住民の健康を支える「かかりつけ薬局」としての役割を担います。

2. ドラッグストア

調剤業務に加えて、一般用医薬品（OTC医薬品）のカウンセリング販売や、サプリメント・健康食品に関する相談対応も行います。お客様のセルフメディケーションを支える重要な役割を担います。

3. 病院

入院患者様や外来患者様への調剤業務が中心です。医師や看護師など、他の医療専門職と連携する「チーム医療」の一員として、より専門性の高い業務に携わります。

未経験者が最初に狙うべきは「調剤薬局」である3つの理由

未経験から薬剤師としてのキャリアを始めるなら、最初の勤務先として「調剤薬局」が最もおすすめです。求人数が多く研修制度も充実しているなど、未経験者が安心して成長できる環境が整っている傾向にあるからです。

ここでは、調剤薬局を最初に選ぶべき3つの理由を詳しく解説します。

1. 未経験者向けの求人数が圧倒的に多い

最大の理由は、求人の受け皿が圧倒的に広いことです。今回の調査でも、未経験者を歓迎する求人のうち約75%が調-剤薬局でした。母数が多いため、勤務地や労働時間、給与といった条件面で、自分に合った求人を見つけやすいという大きなメリットがあります。

2. 研修制度が充実している企業が多い

調剤薬局は全国にチェーン展開している大手企業も多く、未経験者や新卒者向けの教育・研修制度が非常に充実している傾向にあります。

資格取得支援はもちろん、新人研修やe-ラーニングなど、安心してスキルを習得できる環境が整っています。着実に薬剤師としての基礎を固めたい方にとって、最適な環境と言えるでしょう。

3. 在宅医療など多様な経験を積める可能性がある

近年、多くの調剤薬局が力を入れているのが在宅医療です。必須要件として「自動車運転免許」が挙げられていたことからも分かる通り、患者様のご自宅に訪問し、より生活に密着した服薬指導を行う機会が増えています。

調剤業務だけでなく、地域医療に貢献するという、薬剤師の新たな役割に挑戦できる可能性があります。

まとめ：資格があれば、未経験から薬剤師への道は大きく開かれている

この記事では、実際の求人データに基づき、資格はあっても実務経験がない方に向けて、薬剤師への転職のリアルと具体的なステップを解説しました。

調査結果が示す通り、「未経験可」の求人は全体の83%を占めています。資格さえあれば、実務経験を問わずに挑戦できる門戸が非常に広いのが、薬剤師という仕事の大きな魅力です。年収や勤務地、年齢の不安も、データを見れば決して悲観する必要がないことがお分かりいただけたかと思います。

実務経験がないことへの不安は、充実した研修制度や、人柄や意欲を重視する多くの求人が払拭してくれるはずです。あなたの資格とポテンシャルを信じて、ぜひキャリアの第一歩を踏み出してください。